今から２４年前、一人のお客様の要望から生れました。

お客様は５０代の男性で「実は母親が入院したので病室に飾るお見舞いの花を下さい。」と言われました。早速、アレンジメントをお作りしたところとても気に入っていただきました。それから３日後ぐらいに来店され「季節は冬だけど病室は暖房がきいているので花が持たないので何か良いものはないですか？」と更に違うものを求められました。当時は、今のようにブリザーブドフラワ－がなく後はドライフラワーか造花しかありませんでした。お見舞いに造花はタブーとされていましたがそれに代わる商品がありませんでした。

それでも毎週のように来店されては「病院で寝たきりの母親の枕もとに置いて楽しませるようなものがあれば良いですね～」と更に上の商品を求められました。当時は、店頭売りも忙しく不特定多数のお客様を相手しなくてはならない状況で、生花のアレンジメントをお勧めするしかありませんでした。毎回、来店いただくお客様に、いつしか心の中で”すいません”と言う気持ちと、何とかしなくては”いけない”と言う考えがわいてきました。

丁度２月の時、病室に花以外で季節感を味わっていただこうと銅線で鳥かごを作り、その中にセンサー付きの鳥を入れて、鳥かごを触ると

”チュンチュン”と可愛い鳥の声がする商品を開発し、お客様に「この商品はどうでしょう。」とお見せしたところ、これは良いと大変喜んで頂きました。

暫らくして再びお客様が来店し、鳥かごシリーズは良いけれどさらに上の商品を求められました。病室に季節感があり商品に飽きのこないどこにも無い、患者さんの癒しにつながるような新しい商品はないかと考えていた時に、私自身が入院することになりました。病室のベットは低く窓の外の景色が見えませんでした。この時初めて患者さんの気持ちが分かり、外の自然を病室に持ち込むことのヒントを頂きました。