気さくなお客様が来店されました。
「妻の誕生日に花束を予約したい。」
と言われ、詳しくお話をお聞きしました。
「私は今まで妻の誕生日に一度も花束を贈ったことがありません。8月25日が妻の誕生日で、60歳(還暦)になるので、御祝に娘と二人で今までの感謝を込めて60本の赤バラの花束を贈ろうと決めて来ました。」
とのことでした。
奥様はバラが好きで自宅の庭には特別に取寄せた数種類のバラが植えられていて、バラについてとても詳しく勉強されているそうです。ご主人もバラに関して知識が豊富で、バラについてのお話をお聞きしました。
バラの国内の主な生産地は、信州・北海道などの高冷地です。国産のバラは花びらの枚数が少ないため花が小ぶりである事を伝え、赤バラの見本を見ていただいた上で注文を頂きました。
「結婚して今まで一度も花束なんか贈ったことが無かったので、はたしてどんなリアクションをするだろうか。」
と不安な様子でした。
「大丈夫ですよ。今まで私達は多くのお客様にお花を届けてまいりました。女性でお花をもらって嫌がる人なんていませんよ。」
と言うと、安心した様子で自信を持たれていました。
花市場が主に月曜日と金曜日しかなく、25日は金曜日で、お客様が取りに来るのは昼ごろなので、その日の朝の市場に入荷したバラを納品できます。8月ももう終わりですが、九州地方では連日30℃を超え、厳しい残暑が続いています。この暑さの中新鮮なバラの花束がプレゼント出来る事に、お客様も私達もほっとしました。
25日の昼ごろ予定通り取りに来られて、出来上がった花束にとても満足していただけました。
「メッセージカードはどう致しましょうか?」
と聞くと、
「口頭で伝えるからいりません。」
と男らしく花束を持ち、かっこよく店を後にしました。奥様もきっと喜んでくれることでしょう。